徒然なるままに 13年01月09日 2

自炊と閲覧環境

はじめに

 ちらちらと、このコーナーでも私の自炊電子書籍の閲覧環境については触れてきたのだが、まとまった記事にはしていなかったようなので、ちょっとまとめてみたいと思う。

 10年以上も前から何回も「電子書籍元年」であるとか「ペーパーレス社会」とかの言葉がテレビや雑誌に登場しては、現実的には浸透しないでいる。
 しかしようやく、スマートフォンやタブレット端末の普及により、電子書籍については、昨年末近くからは、少しづつ通勤電車や街角等の現実社会でも、目にするようになってきた。

 私自身は、04年07月25日ScanSnap fi-5110EOXを導入して、まずは、手元にある色々な書類の電子化から本格的にスタートしました。
 比較的まめな家なので、色々な書類が保存されているので、紙で保存しなくても良いものから順に電子化をしていきました。
 そして雑誌のスクラップなども電子化を進めていきました。(2005年6月に断裁機を購入)
 2009年頃からは、いよいよ本の置き場に困ってきたので、書籍の電子化にも手をつけていきました。が、SONY PRS-650 を購入するまでは、電子化した書籍はパソコンがないと見れませんでした。
 一応、CLIE TH-55iPod touchでも少しは見ていましたが、いかんせん画面が小さいので、電子化(自炊)した書籍の閲覧には向かないので、青空文庫やWeb小説を中心に見ていました。
 11年2月に電子書籍リーダーであるSONY PRS-650を購入してようやく通勤途中などの出先でも読める環境となりました。
 前述のSnanSnap S1500もパソコンの更新にあわせて新しいものになっていたので、本格的に自炊(電子化)をスタートしました。

 私の電子書籍は、いわゆる自炊、紙の書籍をスキャナーで電子化したものが中心となっています。
 すでに手元に持っている本を電子化して本棚の整理をすること目的なのと、今まで販売されてきた「電子書籍」や「電子図鑑」が特定のソフトや環境がないと読むことができないということがわかってきたからです。
 ソフトウェアとして作りこまれたものは、WindowsVistaやWindows7で動かすことができなかったり、専用のビュワーが最新のOSやOS Xなどに対応していなかったりと色々と不便なのです。
 長期間にわたって可読性を確保できるデータ形式での保存ができるものでないと・・・不安だったりします。

自炊環境

 自炊するためのハードウェアの環境は以下のとおりです。
自炊する人では、かなり一般的な構成だと思います。
環境が整っていれば、漫画であれば1冊5分もあれば電子化が完了します。

SnanSnap S1500
 いわゆるドキュメントスキャナーです。
一度に50枚までの原稿をセットでき、A4カラー両面を毎分20枚・40面読み取ることができます。
長尺読み取り機能もあるので、カバーを簡単に取り込むこともできます。
最新のプログラムでは、GoogleドキュメントDropboxといったクラウドサービスや、iPad / iPhone Android端末(スマートフォン/タブレット)へ直接データを転送・穂損することができます。
PDF編集ソフト Adobe Acrobat Standardも付属しているので、電子書籍を上手に作成・整理するのに最適です。
 
PK-513
 手動の断裁機です。
A4 15mm厚までを一度に断裁することができます。
多くの本は一度に断裁することができますが、15mmを超える本は2・3分割して断裁します。
大変便利な機械ですが、とにかく大きく場所をとることが欠点です。
 
パソコン(自作三号機)
 スキャンしたデータの取り込み・編集や保存に使用します。
一時作業領域が大きく早いとスムーズに作業を進めることができます。
電子化したデータについては、容量が大きいことと、作業ミスによる誤削除等の可能性も考えて、パソコン本体以外に、保存することをお勧めします。もちろん、バックアップは別に行ってください。

 続いて、ソフトウェア環境について説明をします。
 
 ソフトウェア環境ですが、最終的な閲覧環境をどうするのかによっても異なってくるかと思います。
 SnanSnapでは、PDFでデータを保存することが標準になっています。スキャンしたデータですので、1ページごとの画像イメージが1ページのPDFになり、それらが集まって1つのファイルになっています。
 Adobe Acrobat Standardがあれば、作業の都合で複数に分かれたPDFファイルを1つにまとめることもできますし、上下巻の書籍を1つのPDFファイルとすることもできます。
 パソコンや、iPadやandroid タブレットで閲覧することをメインに考えている場合には、特に外にソフトをそろえることも、作業を行うことも必要ありません。

Adobe Acrobat Standard
 PDFファイルの加工に使用します。
書名・著者名などもきちんと入力をしておくことで、電子書籍リーダーなど表示・整列することが可能になります。
 複数のPDFファイルを結合することや、ページの並べ替え・削除、ファイルの分割も行うことが可能です。  スキャンした画像がPDFファイルに格納されているので、画像ファイル(TFF・JEPG等)として取り出すことも可能です。
 
ChainLP
 No.722氏作の、電子書籍作成ツールです。
 連番画像や圧縮画像を指定サイズにリサイズして、画像だけのLRF、PDF、ePub、Mobi、または連番ファイルを作成します。
 また、青空文庫形式のテキストファイルをソースとして入力し、縦書きの画像またはフォント埋め込みPDFにすることもできます。
 SONY PRS-650Kindle Paperwhite、kobo等の「電子書籍リーダー」で自炊電子書籍を見る場合の必須ソフトとも言えます。これらの電子書籍リーダーは、e-inkと呼ばれる技術で画像・文字を表示しています。書き換え時のみ電力を消費するため、長時間の連続使用をすることができる端末に使用されています。当然それらの端末は省電力なので、非常に非力です。すばやく画像を書き換えることが苦手なので、あらかじめ、最適な画像サイズにしておくことで、快適な読書環境を作っておくことが必要です。
 パソコンや、iPadやandroid タブレットで閲覧するのであれば、閲覧時に最適になるように表示するソフトがほとんどなので、本ソフトは不要です。
 
書庫ソフト
 PDFファイルに画像をまとめるのではなく、書庫(拡張子がzipやlzh、rar等)として電子書籍をまとめる場合に必要です。
 最近のWindowsでは、エクスプローラーの標準機能でzipファイルを作成・扱うことが可能です。
ほかの形式を扱いたいときや、操作性をあげたいときにはお好きなものを使用してください。
 
画像編集ソフト
 SnanSnapで読み取り、PDFファイルから出力した画像ファイル等を、編集する場合に必要です。
 余白を調整したいとか、コントラストをいじりたい、複数のページを1枚にまとめたいとか・・・用途に合わせて必要な機能があるものをお使いください。
 良く黄ばんだ紙の地色をとるのには、 Ralpha が良いと聞きますが・・・

閲覧環境

 自炊した本の閲覧環境です。
 私は読み本の種類や場所に応じてさまざまなものを使用しています。
ということですので、主な閲覧目的や場所に応じたお勧めをまとめておきます。

閲覧したい書籍の種類 お勧めの機種 理由
雑誌 iPad、androidタブレット、パソコン カラーや見開きのページが多いので、綺麗に表示でき、拡大縮小がすばやく行えるタブレット系がお勧め。
図録・画集・写真集 iパソコン、Pad、androidタブレット カラーや見開きのページが多いので、綺麗に表示でき、拡大縮小がすばやく行えるパソコンやタブレット系がお勧め。
コミック iPad、iPad mini、androidタブレット、パソコン 大部分のコミックは、電子書籍リーダーでも十分閲覧可能です。
ただし、カラーや見開きをきちんと表示したい、拡大したいといった場合にはタブレット系がお勧め。
4コマ漫画 iPad、iPad mini、androidタブレット、パソコン、スマートフォン 大部分のコミックは、電子書籍リーダーでも十分閲覧可能です。
4コマ漫画ならば、iPhoneやandroidスマートフォンでも十分閲覧できますよ。操作がせわしないけど・・・。
小説(販売しているもの) 電子書籍リーダー 文字の拡大やリフローも行えるので、軽量で、バッテリーの持ちの良い電子書籍リーダーをお勧め。
タブレット系でも読めますが、目が疲れないように明るさを下げてください。
小説(自炊したもの) 電子書籍リーダー 6インチクラスの電子書籍リーダーは、ChainLPを通すなどすれば、文庫・新書はほぼ実物大で表示可能。
手間をかけたくないのであれば、タブレット系での閲覧をお勧め。そんな人は自炊をしないような気もしますが・・・

 主に使う場所から見てのお勧めを考えます。

閲覧したい場所 お勧めの機種 理由
電車 電子書籍リーダー 何よりも軽量です。
カバーをつけると、紙の本と見た目も変わりません。
機種によっては、改ページボタンを押すだけでページをめくれるので、混雑した通勤電車でも扱いやすいですよ。
喫茶店や職場・自宅等 何でも 座って使えるならば、少々重いタブレット系でも、大丈夫。
テーブルが狭いとか、電源が限られているときにはそれにあわせたものを
パソコンの前 パソコン パソコンの前にいるのなら、そのままパソコンを使いましょう・・・
ベッド iPad mini、ライトつきの電子書籍端末 暗いところで、持ち上げて使用すると思うので、軽量なものをお勧め。
こんなところで本を読むのはよくはないと思うのですが・・・

SONY Tablet S1 閲覧用の端末をひとつにまとめたいのであれば、現時点(2013.01)では、解像度の高めの10インチクラスのandroid タブレットがお勧めです。
 一部の電子書籍ストアーの本を読むことをあきらめる場合には、appleのiPad Retinaディスプレイモデルがお勧めです。なんといっても、2,048x1,536のピクセル解像度は圧巻です。
 持ち歩きを考えるならば、SONY PRS-650Kindle Paperwhite、kobo等の「電子書籍リーダー」か、AppleのiPad miniをお勧めします。

参考リンク

RetinaディスプレイのiPadで電子書籍を読んでみたり、自炊して分かったこと

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最終更新日:2013/01/14 22:45:35作成者:高橋 秀雄 hd5h−tkhs @ asahi−net.or.jp
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