徒然なるままに 13年10月25日

火災保険の値上げ

 先日の新聞で、火災保険料が2015年度から3〜5%値上げする方向で検討されていることが報道されていました。自然災害の増加により、保険金の支払いが増えており料率を見直す必要が出てきたからとのことです。
 我が家は昨年の契約時に10年間の保険料を既に前納しているので、すぐに値上げの影響を受けることはありませんが、次回契約時には値上げとなるので、ちょっと気にかかるニュースでした。

我が家での検討

 さて、その火災保険と地震保険ですが、以前にも書いたのとおり、住宅を購入した我が家は、引き渡しの直前になってから、大急ぎで色々と情報を集め、契約を行いました。
 東日本大震災が発生した翌年で、東京でも大地震が憂慮されるとの報道がまだまだ多い時期でしたから、少しでも無保険期間があるというのは、大変不安なことなことでした。
 最終的に契約をすることが出来たのは、結局、建物の引き渡しを受けてからになってしまいましたが・・・
 短期間での内容検討であり、色々な保険を十分に検討を行うことは出来ませんでしたが、火災保険で保障される内容は契約する保険の種類や特約契約により大きく変わることや、木造住宅でも構造によって保険料額に差があることを知ることが出来ました。
 また、同じ名称の保険でも、損害保険会社によってカバーする範囲や料金が違うことや、保険期間や支払い方法によっても、支払うことになる総額が違うことも分かりました。
 昔、マンションの火災保険を契約した頃とはずいぶんと制度が変わってきているようです。

火災保険とは

 そもそも「火災保険」とは、どんな保険なんでしょうか?
 自宅からの出火及び「もらい火」による「建物」の火災被害を補償する保険です。 単独では、建物の中の財産(動産)は対象としていません。動産も対象とする場合「住宅総合保険」特約契約で対応します。
 なお、地震や戦争・原子力事故等による被害は、補償されません。地震・噴火またはこれらによる津波を原因とする損害に対しては、「地震保険」でカバーをする必要があります。
(「もらい火」による火災や、消火活動による水かぶり等については、「失火の責任に関する法律」により出火元に求償出来ないそうです。)

 現在の主流の火災保険では、2000万円の建物を新築し、2000万円までの火災保険に加入した場合、昔の火災保険とは異なり、同等の建物を新築できる金額(この場合2000万円)が支払われます。(新価(再調達価額)契約)
 昔は建物の減価償却を考え、現に建っていた建物の「時価」が、保険金額でしたので、家を再建するには、「保険金+自己資金」でないとだめでした。そのため、保険加入率(5割以下)が低かったというはなしもあり。

 ここまで「火災保険」について、記載してきましたが、実際に契約する場合、単独の「火災保険」は非常に少ないそうです。探してもほとんど販売していないようです。
 そのため実際に契約をする場合には、数種類の「住宅総合保険」と「特約契約」の組み合わせで保障内容を決めることになります。

例1 例2 例3
火災、落雷、破裂・爆発 火災、落雷、破裂・爆発 火災、落雷、破裂・爆発
風災、ひょう災、雷災害 風災、ひょう災、雷災害 風災、ひょう災、雷災害
(漏水による)水ぬれ (漏水による)水ぬれ (漏水による)水ぬれ
盗難 盗難 盗難
水災(浸水、高潮、土砂崩れ等)    
  破損、汚損  

 例1の場合は、かなり広範な補償範囲の保険になります。
 例2の場合は、水災の心配のない地域の住宅向けの保険になります。
 例3の場合は、ベーシックな保障内容の保険になります。

 我が家の場合は、洪水ハザードマップによると、「多摩川の流域に2日間で総雨量457mmの雨(200年に1度降る可能性があります)で、50cm〜1mの浸水の可能性がある」ということになっているので、「水災」まで含めましたが、高台で土砂崩れの恐れがないという「水災」を心配する必要がない立地であれば、例2でも良いのではないでしょうか。「水災」は結構保険料が違います。

 特約としては、給湯設備・床暖房や太陽光発電の故障の保障、高価な宝石や貴金属の災害で生じた損害の補償、失火した場合の周辺への見舞い費用の補償、日常生活における事故の補償等さまざまなものがあります。
 このあたりは、地震で既に利用できる損害保険契約等を確認した上で、必要に応じて選択を行えばよいかと思います。
 クレジットカード、共済、住宅総合保険以外の保険の特約、商品自身の保障等で、結構カバーされている
ものもあります。
 無駄に保証を重複させる必要もないかと思います。

保険期間

 保険期間ですが、1・3・5年間等短期間の契約を行うことも可能です。
 また、10・20・30年といった長期の契約を行うことも出来ます。
 長期の契約になるほど、割引率は上がります。ある社の見積もりでは、20年の長期契約で2割以上も保険料が安くなっているものもありました。

 ただし、前述の「新価(再調達価額)契約」のように、保険制度の改正や保険会社間の競争もあり保険料も保障内容も変化していってますので、長期契約については良く考えたほうが良いこともあるようです。
 なお、我が家は、10年契約としました。

支払方法

 保険料の支払方法については、年払い、月払い、一括払い、保険期間の一部期間のみの一括払いや払い込み、引き落とし、クレジット払い、現金払い等が選べます。
 月払いが一番支払い額が高く、一括払いが割引率が高いものが多いようです。また月払いの場合、現金払いよりも引き落としやクレジット払いのほうが安く済むようです。
 我が家でとった見積もりでは、ある社の場合、支払方法の違いのみ(同一保障内容・期間)で、10年間の支払い総額の差が、4万円以上となっているものもありました。

 なお、年払い・月払いは、払い込みで支払いをしている場合、払い込み忘れで保険が失効する場合があります。気を付けなければいけません。
 クレジットカードの場合はポイントも付きますので、特に問題がなければ、一括のクレジット払いが一番お得かもしれません。

地震保険について

 「火災保険」では、地震・噴火またはこれらによる津波を(直接の)原因とする建物の被害については、補償の対象とはされていません。
 また、地震等による火災(延焼・拡大も)損害や、火災(発生原因を問わない)が地震等によって延焼・拡大したことにより生じた損害についても補償の対象とはされていません。
 これらを原因とする建物の被害については、別途、地震保険に加入する必要があります。

 なお、「地震保険」のみに加入することはできません。
 火災保険に入る時に一緒に入るか、既契約の火災保険に追加して入るかのどちらかになります。

 さて、「地震保険」ですが、全ての損害保険会社で内容及び保険料が同一とされています。
これは、「地震」という災害の性質により、広範囲かつ多数の支払いが見込まれるため、民間企業である損害保険会社の「保険商品」ではないためです。国と損害保険会社が補償を分担するという仕組みになっていることから、このような形になっています。

補償内容

 地震保険の保険金額は、「火災保険の30〜50%、かつ、建物:5,000万円、家財:1,000万円」が限度とされています。
 さらに、1回の地震等による損害保険会社全社の支払保険金総額が6兆2,000億円を超える場合、算出された支払保険金総額に対する6兆2,000億円の割合によって削減されることがあります。(平成24年9月現在)
 火災保険と異なり、住宅を再建できるだけの金額は保証されないということです。

 例えば、2000万円の火災保険(建物)に加入しており、保険会社の判定により「全損」とされた場合、割合によって削減されることがなければ、1000万円が補償されるということです。

 しかも、「保険会社の判定により」と記載した通り、行政による「り災証明書」発行のため建物被害の判定とは異なる基準・仕組みで運用されるため、トラブルになるケースも過去には多かったという話もあります。

保険料

 保険料については、前述のとおり全ての損害保険会社で内容及び保険料が同一とされています。
どんな建物・地域でも同じ保険料になるのかというと、そんなことは当然なくて、地震に対する危険度に応じて差がつけられています。

《基本料率(保険期間1年・保険金額1,000円につき)》
都道府県 構造区分
耐火構造 非耐火構造
岩手、秋田、山形、福島、栃木、群馬、富山、石川、福井、鳥取、島根、山口、福岡、佐賀、長崎、熊本、鹿児島 0.50 1.00
北海道、青森、宮城、新潟、長野、岐阜、滋賀、京都、兵庫、奈良、岡山、広島、大分、宮崎、沖縄 0.65 1.27
香川 0.65 1.56
茨城、山梨、愛媛 0.91 1.88
埼玉、大阪 1.05 1.88
徳島、高知 0.91 2.15
千葉、愛知、三重、和歌山 1.69 3.06
東京、神奈川、静岡 1.69 3.13

 割引制度としては、建築年割引、耐震等級割引、免震建築物割引、耐震診断割引の4つの割引制度があります。

建築年割引
昭和56年(1981年)6月1日以降に新築された建物(いわゆる、新耐震基準の建物)
割引率:10%
 
耐震等級割引
住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)に規定する評価方法基準に定められた耐震等級または国土交通省の定める「耐震診断による耐震等級の評価指針」に定められた耐震等級を有している建物
実際に等級を有していることが必要、(等級1が建築基準法で求めている耐震性と同等))
割引率:等級1 10%、等級2 20%、等級3 30%
      (2014.07.01以降から開始の保険は、等級1 10%、等級2 30%、等級3 50%) 
 
免震建築物割引
住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)に規定する評価方法基準に定められた「免震建築物」の基準に該当する建物
  割引率:30%
      (2014.07.01以降から開始の保険は、50%) 
耐震診断割引
地方公共団体等による耐震診断または耐震改修の結果、改正建築基準法に基づく耐震基準を満たす建物
割引率:10%
 

地震保険の加入率

地震保険 都道府県別世帯加入率の推移 2011年に東日本大震災がありましたが、2012年度末の全国平均で、27.1%。なんと世帯加入率でみると、4世帯に1件しか地震保険に加入していないことになります。

 東海地震や、東京直下地震等が心配される東京都は、34.1%。私が住む神奈川県が32.3%。地震に対する防災意識が高そうな静岡県は、なんと低くて27.6%です。

 東日本大震災で大きな被害の出た東北三県は、青森県 18.1%、岩手県 18.4%、宮城県 48.5%となっています。なんと宮城県は全国一の加入率でした。
(震災が起きたので、宮城県の急に加入率が高くなったのではなく、2002年から全国平均を上回るようになっています。(資料:地震保険 都道府県別世帯加入率の推移))

 新規に火災保険に入った人のうち地震保険を付帯した人の割合は、2010年度の48.1%から、2012年度には56.5%と増加しています。
 さすがに、地震に対する備えが必要だとの認識が広がったものと思われます。

 最後に、地震保険は来年7月に最大30%、全国平均で15.5%の保険料の値上げが予定されています。
冒頭の火災保険の値上げよりも、こちらの影響のほうが大きそうな気がします。

戻る


最終更新日:2013/10/26 18:44:02作成者:高橋 秀雄 hd5h−tkhs @ asahi−net.or.jp
Copyright 2013