我が家は、「省エネ等級 4」をクリアしている住宅として購入をしました。
これは国が定めた省エネ法(エネルギーの使用の合理化に関する法律)に基づく住宅の断熱性能についての基準(次世代省エネ基準 平成11年告示(平成21年最終改正))を満たしている住宅を購入したということです。
省エネ基準そのものは、第2次オイルショックや湾岸戦争後に制定・改正をされ、「地球温暖化防止京都会議(平成9年)」をうけて、次世代省エネ基準となりました。
次世代省エネ基準は、制定後に3回の改正を受けて、現行の内容は平成11年の制定時よりも遙かに厳しくされています。
さらには、前述の「次世代省エネ基準」を満たした上で、「2008年時点での一般的な設備(エアコン、照明、給湯器など)を備えた場合と比べて、エネルギー消費量をおおむね10%削減」するという更に厳しい「住宅事業建築主の判断基準」(トップランナー基準)もあります。
ただし、こちらは暖房・冷房・換気・照明、給湯あるいは太陽光発電などの設備による省エネ効果を加え、トータルとしてエネルギー消費量を減らそうという基準です。
「省エネ等級 4」を取得できるできる住宅は、「復興支援・住宅エコポイント」や金利の優遇の受けられる「フラット35S」の対象となるので、建売住宅でも近年は作られることが多くなっているようです。
それでも新築住宅の2〜3割程度にとどまっていますが…とはいえ、国の「優良住宅取得支援制度」という政策誘導は、比較的有効に機能したといえる良い例でしょう・・・
おかげで我が家も比較的断熱性の良い住宅を購入できました。マンションから戸建てに住み替えると「あまりの寒さにびっくりする」ということを良く聞きますが、それほどではなかったと思っています・・・
断熱については、いろいろと複雑なので、自分の覚え代わりとしてもまとめておきたいと思います。
最近は住宅関連のキーワードで訪れる方も多いので、皆さんの住宅建築・購入の参考にしていただければと思います。
「省エネ等級 4」の住宅なので下記のような仕様で建てられています。
「建築場所」や「工法」によって必要な断熱性能が異なりますので、注意してみて下さい。
断熱性能の地域区分 | IV地区(神奈川県) | ||||
住宅工法 | 2×4工法 |
見出し・部位 | 使用断熱材 | 次世代省エネ基準を満たすには | ||
---|---|---|---|---|
仕様 | 熱抵抗値 (m2・K/W) |
トレードオフを使用した計算上、 この建物で必要な熱抵抗値 (m2・K/W) |
熱抵抗値 の基準値 (m2・K/W) |
|
屋根 (勾配天井部) |
高性能グラスウール16K(ア)90mm | 2.4 | 2.3 | 4.6 |
屋根 (最上階平屋根・下屋) |
高性能グラスウール16K(ア)90mm | 2.4 | 2.0 | 4 |
天井 | 高性能グラスウール16K(ア)90mm | 2.4 | 2.0 | 4 |
外壁 (外気に接する壁) |
高性能グラスウール16K(ア)90mm | 2.4 | 2.3 | 1.7 |
床 (外気に接する床) |
A種押し出し法ポリスチレンフォーム保温板3種(ア)90mm | 3.2 | 3.1 | 2.5 |
床 (その他の床) |
A種押し出し法ポリスチレンフォーム保温板3種(ア)60mm | 2.1 | 2.0 | (-) |
窓 (開口部) |
ペアマルチレイボーグ(Low-E)(遮熱低放射複層ガラス) | 1.6W/m2K | 4.07W/m2K | 4.65W/m2K |
玄関ドア (開口部) |
断熱D3 | 4.07W/m2K | 4.65W/m2K |
建物全体での断熱性能が、次世代省エネ基準 省エネ等級 4をクリアするように面積・必要熱抵抗値が計算されています。 (「トレードオフ」という設計手法を使用)
そのために、一部の熱抵抗値(*1)が、次世代省エネ基準を満たす為の基準値を下回っています(*2)が、建物全体ではトレードオフを用いた計算上は、基準をクリアしています。
(*1 熱抵抗値は、数値が大きいほど熱が逃げにくいため、値としては良好と読みます。)
(*2 開口部(窓・玄関ドア)は、数字が低いほど熱が逃げていない)
(*3 屋根周りの熱抵抗値が基準を下回っています。)
いわゆる「高気密・高断熱住宅」は、上記の基準よりも更に断熱性能を上げているそうで、Q値・C値といった建物全体の性能を表す数値が非常に良いようです。
我が家ですが、建売住宅なのでQ値・C値は測定されていません。屋根(勾配天井部)と、窓(開口部)については、ほかとの兼ね合いもありますが、もっと断熱性能が上であれば良かったかなぁと思っています・・・「トレードオフ」という設計手法を使用しているために、屋根の夏の日射による影響が特に心配です…(最初の夏を経験しましたが、室内の最高気温の記録によると、日射による屋根材の温度上昇による室温上昇の影響がほぼなかったようでした。)
実際に暮らし始めてみて、室内の温度変化を少し記録してみました。
断熱住宅の効果があるかどうかの確認です。
暖房の使い方を変えて、記録をしたので比較をしてみてください。
連続記録のできる温度計を所有していないので、各室においてある温度計を適宜見た結果ですので・・・参考程度に。
なお、加湿器は、設定湿度になると加湿を停止する機能つきです。
場所 | 22時前後の室温 | 6時前後の室温 | 最低外気温 | 結露 |
---|---|---|---|---|
リビング | 22度 | 13度 | 3度 | 酷い(前夜加湿あり) |
寝室 | 18度 | 12度 | 3度 | 少々(前夜加湿あり・外部シャッターあり) |
トイレ | 12度 | 12度 | 3度 | なし |
場所 | 22時前後の室温 | 6時前後の室温 | 最低外気温 | 結露 |
---|---|---|---|---|
リビング | 22度 | 16度 | 1度 | 少々(前夜加湿あり) |
寝室 | 19度 | 13度 | 1度 | 微々(前夜加湿あり・外部シャッターあり) |
トイレ | 13度 | 13度 | 1度 | なし |
場所 | 22時前後の室温 | 6時前後の室温 | 最低外気温 | 結露 |
---|---|---|---|---|
リビング | 22度 | 17度 | 1度 | 酷い(前夜加湿あり) |
寝室 | 20度 | 14度 | 1度 | 少々(前夜加湿あり・外部シャッターあり) |
トイレ | 13度 | 13度 | 1度 | なし |
※室温は小数第一位を四捨五入
外気温に差があったりするので、厳密な比較はできませんが、夜間に余分に運転をして室温変化を抑えることで、結露を少なくすることができるようです。
12月になってからは、『建物の躯体や建材が冷たいままだと「冷輻射」で寒く感じる』ということだったので、建物が温まるようにかなりの暖房を入れておきました。これで、壁からの冷たさは随分となくなりました。
もっと、建物が温まると夜から朝方にかけての室温の低下が減るのでしょうか・・・最近はひどい結露は少なくなってきたようです。(リビングの温度低下の度合いが減少しています)
寝室につけた「電気代の分かるエアコン」と、和室の「ワットメーター」と呼ばれる電気の使用量を測れる機械を購入して測定をしたエアコンの使用電力等を調べてみました。
室温が低いときから、設定した温度前後にあげるまでが一番電気を使用するようです。
その後は、24時間以上連続で動かしても、そんなに電気を使用しないようです。
エアコンを停止して室温が下がり、寒くなったので、再度の設定温度まで戻す時には、また電気を随分と使用します。
機器 | 寝室エアコン | 和室エアコン | リビング加湿器 | 寝室加湿器 |
---|---|---|---|---|
電源投入から設定温度到達まで | 24円 | 28円 | 32円 | 28円 |
24時間の連続運転 | 12円 | 12円 | 46円 | 32円 |
再度の電源投入から設定温・湿度到達まで | 23円 | 32円 | 32円 | 20円 |
備考 | 2.2kw 8畳 |
2.2kw 6畳・16畳のLDKに隣接 |
加熱式(600W) 16畳・6畳の和室に隣接 |
加熱式(600W) 8畳 |
連続運転 | 断続運転 |
電気使用量のイメージとしては、図のようになるようです。 赤色の部分が、電力を使用する部分です。赤色の三角形の面積に相当するエネルギーが投入されるというイメージです。
「連続運転」も、実際には「短時間での間欠運転」や「インバーターによる低出力運転」またはそれらの組み合わせとなります。
寝室のエアコンで考えると下記のようになります。
朝夕2回エアコンをつけて、1時間と4時間の計5時間程度で停止。24円×2回×30日+90円(数時間の運転分)=1530円
1回エアコンを付け以後連続運転、24円×1回+12円・日×30日=384円
それよりも、加熱式加湿器の使用電力量のほうが、エアコンの使用電力量よりも大きいことが気になります。(200〜100kWh、2400〜1200円/月)
設定湿度を検討する必要があるかもしれません。
ここまでの話を総合して考えると、エアコンを連続運転することで、室温低下を防ぎ結露防止を図る。加湿の設定湿度を、引き下げる。
ただ、エアコンを不在時や夜間も連続運転するということに抵抗感があるのは事実です・・・
断熱等級は2022年3月までは「4」が最高等級でしたが、2022年4月には「等級5」が、同年10月に「等級6」と「7」が新設されました。
なお、2025年以降に新築する住宅では、断熱等級4以上、2030年には等級5以上が義務化されます。